空手を始めたきっかけ
思えば俺は子供の頃からひねくれ者の天邪鬼だった。
全員が右を向けば左を向きたくなり、やれと言われれば全くやりたくなくなり、威張られると鼻をほじりながら反抗したくなる。
なんとなく流行りというものに冷めていて、流行りが廃れてからそれに触れて「いいじゃん!!コレ、いいじゃん!!」とその流行りが世間の周期から大きくズレてやってくる。その姿はまるで残飯を漁る飢えた餓鬼のようである。
漫画や小説の物語では脇役が好きになり、世間がAdoやBTSを聴けばさだまさしやばんばひろふみを聴き、世間がなんらかのドラマで話題を賑わせれば俺は子連れ狼を観ている。
インスタやツイッターなどのSNSもなんとなくやっていないので話題にもついていけず、話を振られれば「そうか!!」、「大したもんだ!!」の二点張りで人が次から次へと離れていく。
我ながら困ったものである。
このしちめんどくさい性格のおかげで残った友人の数はわずかに二人。
これも中々のめんどくさい豪の者で類は友を呼ぶとはよく言ったものである。
それに俺は友人と思っている彼等も俺の事をどう思っているのかは全く分からん。
もしかしたら友人のゆの字も思っていないかもしれない。
そんなしちめんどくさい俺も育ちに育って27歳である。
お蔭様でなんとか生きている。
突然だが俺は燻っていた。ぶすぶすと。
酒を飲んでウェイ、スタバでウェイ、マッチングアプリでウェイという世間の流行り(完全な独断と偏見)には脊髄反射で鼻をほじって煽りと野次を飛ばしたくなる。
ヤフーニュースにはクソ程どうでもいい芸能ニュースがウクライナ情勢の上に来て、聞かれても求められても居ない輩のコメントでコメント欄は地獄の様相を生み出している。
肝心の男どもは煌びやかな女性の自撮り写真に群がっている。
人生一度しかないんだから楽しんだもん勝ちっしょ!みたいなことを同僚から言われれば「なめんな殺すぞ。」と言いたくなる。
会社に行けば暇な営業部の旦那が愚痴りに我が部署にやってくる。
昼休みとなれば同僚達は金の話や女の話、スマホゲーの話題で持ちきりだ。
そんな時俺は「これが本当のパワーハラスメントでぇい!!!!」、と暴れて威力業務妨害をしたくなってくる。
とはいえしちめんどくさい俺も人の子である。
そんなことを言えば白い眼で見られるし、そんなことをすれば手が後ろに回りかねない。
それくらいの分別はあるつもりだ。
しかし一体なんだこのモヤモヤは。
行き場のないモヤモヤは。
訳も分からず暴れて怒りたくなってくる。
そんな時にある動画がyoutubeおすすめに上がってきた。
それが空手だった。
ただひたすらに巻き藁を打つ、型を打つ、鍛える。
そこにはなんの飾りも無くそれ以上もそれ以下もない。
俺にはそれが堪らなく魅力的に思えた。
そして居ても立っても居られずに空手道場を探し始めた。
そして辿り着いたのが某所にある沖縄伝統空手の道場。
見学をしたその日に体験。
そして入門した。
そして思ったこと。
「こんな楽しいことがあったのかよ!!なんで早く教えてくれなかったんですか!!?」
とまぁそんなことで空手を始めたわけです。
白帯が黒に変わるまで頑張りたいと思います。